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公正証書遺言

公正証書遺言⑳まとめ — 公正証書遺言で未来を整える

全20回にわたり、公正証書遺言の仕組みや作成方法、事例、注意点などを詳しく見てきました。 公正証書遺言は、形式不備や紛失のリスクを避け、遺言者の意思を確実に残せる最も安心な方法です。費用や手間はかかりますが、それ以上に「残された家族の安心」を…

公正証書遺言⑲専門家に依頼するメリット

自分で準備して公正証書遺言を作ることも可能ですが、専門家に依頼すると安心感が大きく高まります。 弁護士や司法書士、行政書士などは相続に関する知識が豊富で、遺留分や税務の影響を見越して最適な遺言内容を提案してくれます。また、必要書類の収集や証…

公正証書遺言⑱死亡後の手続きの流れ

遺言者が亡くなった後、公正証書遺言はどのように効力を発揮するのでしょうか。 公正証書遺言は家庭裁判所の検認を経る必要がなく、すぐに手続きを進められるのが大きな利点です。相続人や受遺者は、公証役場で謄本を請求し、その内容に基づいて不動産の名義…

公正証書遺言⑰複数遺言のリスク

複数の遺言が存在すると、内容が矛盾したときに大きなトラブルを招きます。例えば一つの遺言では自宅を長男に、別の遺言では次男に、となっていた場合、解釈を巡って争いが必至です。 公正証書遺言を新たに作成する場合は、過去の遺言を撤回する旨をしっかり…

公正証書遺言⑯遺言の改定・撤回

一度作った遺言も、事情が変われば書き直すことができます。公正証書遺言の場合、新たに作成すれば原則として以前のものは撤回された扱いになります。(すべての財産を網羅しているという条件はあります。) ただし、部分的に変更したい場合には「前遺言の第…

公正証書遺言⑮遺留分や債権者への対応

公正証書遺言は強力ですが、それでも完全に争いを防げるわけではありません。特に注意が必要なのが「遺留分」です。 相続人には一定の取り分が法律で保障されており、それを侵害する遺言は、後で遺留分侵害額請求を受ける可能性があります。また、債務がある…

公正証書遺言⑭遺言執行者の指定

遺言内容を確実に実現するには「遺言執行者」を指定するのが望ましいです。遺言執行者は相続人を代表して財産の名義変更や金融機関の手続きを行う権限を持ちます。 実務では、信頼できる専門家や親族を執行者にする例が多いです。報酬をどうするか、職務の範…

公正証書遺言⑬署名ができない場合の対応

高齢や病気で手が動かず、署名や押印が難しい場合でも公正証書遺言は作成できます。 公証人が本人の意思を丁寧に確認し、その内容を証書に記載。署名ができない事情を明記して代署にすることも可能です。また、公証人が自宅や病院まで出張してくれる制度もあ…

公正証書遺言⑫手数料の仕組みと試算

公正証書遺言には公証人手数料がかかります。これは「目的の価額」に応じて決まります。例えば100万円以下なら5000円、500万円以下なら1万3000円、1000万円以下なら2万円、といった具合に段階的に定められています。 複数の財産がある場合は合計額で算出され…

公正証書遺言⑪当日の流れを詳しく説明

遺言当日の流れを知っておくと安心です。 まず遺言者が公証人に対して自分の意思を口頭で述べます。それを公証人が法律的に整えて筆記し、草案を読み上げます。内容に誤りがないかを確認したうえで、遺言者と証人が署名・押印。最後に公証人が署名・押印を加…

公正証書遺言⑩証人の選び方と注意点

公正証書遺言の作成には、証人が2名必要です。ただし誰でもなれるわけではなく、未成年者や推定相続人、受遺者、その配偶者や直系血族は証人になることができません。 ではどうするか。身近に信頼できる友人や知人がいれば頼むのが一つの方法です。しかし中…

公正証書遺言⑨必要書類を詳しく確認する

公正証書遺言を作成する際には、さまざまな書類が必要です。 まず遺言者本人の印鑑登録証明書や顔写真付きの身分証明書。相続人や受遺者との関係を確認するために戸籍謄本や住民票も求められます。受遺者が法人であれば登記事項証明書が必要です。 不動産を…

公正証書遺言⑧公証役場への依頼方法と作成の流れ

公正証書遺言は、公証役場に直接依頼するか、専門家を通じて手続きを進めるかのいずれかで行います。 一般的な流れは、まず公証役場に予約を取り、財産や相続人の情報を提出。次に公証人が草案を作成し、それを遺言者が確認して修正を加えます。そして最終的…

公正証書遺言⑦作成前に必ず準備する“資産と関係者”の一覧表

公正証書遺言をスムーズに作成するためには、事前準備がとても大切です。まずは「資産」と「関係者」を一覧表にまとめておきましょう。 資産としては、不動産の登記事項証明書、固定資産評価証明、預貯金通帳、保険契約、株式や投資信託の明細などを揃えます…

公正証書遺言⑥具体事例その3 — 事業承継や賃貸物件をどう扱うか

事業を営んでいる方や賃貸不動産を所有している方にとって、遺言の役割は特に大きいものです。単に「息子に会社を相続させる」と記すだけでは、取引先との契約や借入金の処理、株式の評価方法などが不明確なまま残ってしまいます。 賃貸物件も同様で、誰が管…

公正証書遺言⑤具体事例その2— 再婚・連れ子がいる場合

再婚をしており、前婚の子と現配偶者との間に利害対立が生じやすいケースでは、公正証書遺言の重要性がさらに高まります。 例えば「全財産を配偶者に」という内容だと、前婚の子が遺留分を請求する可能性があります。逆に、子に多くを渡しすぎれば、配偶者の…

公正証書遺言④具体事例その1 — 自宅と預貯金を分けて遺す場合

典型的な事例として「自宅は配偶者に、預貯金は子に分けたい」というものがあります。自宅は生活の基盤であり、配偶者が安心して住み続けられるよう明確に指定することが重要です。その際は不動産の所在地・地番・家屋番号を具体的に書き込みます。 預貯金に…

公正証書遺言③誰に向く?公正証書遺言が適するケース

公正証書遺言はすべての人に推奨できますが、とりわけ次のようなケースでは強くお勧めできます。 まず、不動産を複数持っている方。土地や建物は名義変更が必要なため、遺言内容が不明確だと大きなトラブルになります。また、事業や賃貸物件を持っている方も…

公正証書遺言②公正証書遺言と自筆・秘密遺言の違い

遺言書には大きく分けて3つの方式があります。最も手軽なのが自筆証書遺言。自分だけで書けますが、方式の誤りで無効になるリスクや、紛失・改ざんの危険があります。法務局の保管制度を使う方法もありますが、内容のチェックまではしてくれません。 一方、…

公正証書遺言①公正証書遺言を考える理由 — 安心と「争いにくさ」を買う

遺言書を作ろうと思ったとき、まず気になるのは「本当にこれで家族は困らないだろうか」という点です。せっかくの遺言が形式不備で無効になったり、保管中に紛失・改ざんされてしまっては意味がありません。その不安を大きく減らしてくれるのが、公正証書遺…