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自筆証書遺言⑮まとめとこれからの一歩

 自筆証書遺言は、手軽で身近な遺言方式です。
 しかし同時に、形式の不備・紛失・発見されないリスクといった弱点もあります。保管制度や専門家のサポートを組み合わせることで、その弱点を補い、確実に意思を残すことができます。
 「自分には大した財産がない」と思っている方こそ、家族に余計な負担をかけないために遺言を考えてみるべきです。まずは一度、専門家に相談するところから始めてみてはいかがでしょうか。

 

自筆証書遺言⑭自筆証書遺言を選ぶ人に向いているケース

 すべての人に公正証書遺言が必要というわけではありません。
 相続人が少なく、財産内容もシンプルで、争いの可能性が低い場合には、自筆証書遺言で十分に対応できます。
 たとえば「配偶者と子ども1人に財産を残す」というようなケースです。ただし、その場合でも形式の正しさ、記載内容や保管方法は慎重に検討する必要があります。不動産についてはその記載内容次第では登記に使えない場合もあります。
 ご家族に遺すための遺言は、財産を分けること以上に「残された家族を守ること」だという視点を忘れないようにしましょう。

 

自筆証書遺言⑬事例紹介その3 行政書士のサポートで安心

 70代の女性が自筆証書遺言を作成したいと相談に来られました。
 当初は独力で書こうとされていましたが、行政書士が関与したことで、遺言の文言を整理し、遺留分を侵害しない形で調整できました。
 さらに、法務局での保管制度も利用し、家族に保管証明書の所在を伝える形に。当事務所では自筆証書保管制度の利用サービスとして、法務局への同行もしておりますので、当日も安心しておまかせいただけます。
 結果として、依頼者は「これで安心できる」と笑顔になられました。専門家のサポートは、遺言の有効性と家族の安心を同時に守ります。

 

自筆証書遺言⑫事例紹介その2 発見されなかった遺言

 別のケースでは、父親が自筆で遺言を書き、自宅の引き出しにしまっていました。しかし、相続人はその存在を知らず、遺産分割協議が終わった後に発見されました。すでに分配が済んでおり、今後どういう対応をとるのか非常に揉めた事例です。
 とくに相続人以外に遺言書の受遺者がいた場合、分配の終わった遺産を戻し、その人に渡す必要も出てきます。都合が悪いからと言ってその遺言書を破棄してしまうと相続人としての権利も失ってしまいます。
 遺言書は「存在するだけ」では意味がなく、相続時に発見され、効力を持って使われて初めて価値を持ちます。保管制度の活用や、信頼できる人への告知は欠かせません。

 

自筆証書遺言⑪事例紹介その1 形式不備で無効に

 ある方は、自宅で自筆証書遺言を作成しました。
 しかし、日付を「令和◯年◯月」とだけ記入し「日」を書き忘れていたため、無効と判断されました。結局、遺言は効力を持たず、相続人同士の話し合いとなり、激しい対立が起こりました。
 遺言書に関しては、その作成日により真偽が決着される場面もあるため作成日付けは特に重要です。 
 このように、ほんの小さな形式の誤りが致命的な結果を招くのです。自分の意思を確実に伝えるためには、専門的な知識をもとに作成することが非常に大切だとわかります。

 

自筆証書遺言⑩専門家に相談するメリット

 「自分で書けるから大丈夫」と思われがちな自筆証書遺言ですが、実はトラブル防止の観点から専門家の関与が望ましいです。
 行政書士は、遺言の形式面だけでなく、相続の全体像を見据えたアドバイスを行えます。たとえば「遺留分侵害にならないか」「相続人が複雑な場合に有効に機能するか」といった点を事前に確認できます。
 結果として、相続人が安心して手続きできる遺言が完成し、依頼者の意思を確実に実現できます。