遺言があっても、その内容を実現できなければ意味がありません。そのため遺言の内容を実現するために遺言執行者の制度というものが存在します。
公正証書遺言の 場合には、遺言執行者を定めることが大半です。遺言執行者を定めておくこ とにより、適切に遺言の内容を実現でき、相続人全員の同意なしに不動産の 所有権移転登記や預貯金等払戻しが、速やかに実行できるからです。
近年の改正民法により遺言執行者は、 遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切 の行為をする権利義務を有する。」(民法1012条1項)とされています。また「遺言執行者がその権限内において遺言 執行者であることを示してした行為は、相続人に対して直接にその効力を生 ずる。」と定められ、遺言執行者の地位と権限が遺言の内容を実現するため であることが明らかになっています。 つまり遺言執行の行為については相続人でさえも妨げてはいけないということになっています。
遺言執行人には、相続人代表者や行政書士のような士業の専門家がなったりします。相続人代表者が担っている場合でも遺産分割にともなう各種手続きなど 煩雑な作業や、また時間のとられるものも多いので、専門家に協力してもらったほうが楽にスムースにことは運びます。